『けしごむ ぽん いぬが わん』

非常事態宣言が東京に出されたころは、この絵本の仕上げをしていました。どうしても間に合わなくて、何度も徹夜。サイトヲヒデユキさんがデザインとディレクションをしてくださり、児童文学作家でもある編集者の市川宣子さんが担当してくださるという、なんとも贅沢な機会を得て、しずしずと制作にいそしみました。
絵はすべて版ごとに描き分けました。そういうのを別版というのですが、紙を重ねて、絵がずれないようにあわせて描くのが、その、とにかく、そこにいちばん時間がかかったわけです。
わたしは、はんこ屋さんになる夢がかつてありまして、はんこへの愛を絵本にしてみたら、と市川さんがさそってくださったわけです。子どもの頃、激しくはんこに憧れながら、その道に進まなかったのは、あるとき、はんこ屋さんの仕事に、失くした銀行印のコピー作り、というものがあり、それがとても大切な仕事だと聞いたらから。子どもながらに、そういうのは、わたしはできなさそう。。。というのがはっきりくっきりわかっていたからです。でも、この本のおかげで、少しその夢をかなえることができました。だって、はんこで仕事ができたんだもん。身近なものをはんこにして、ぽんぽん押しました。おうちにいる時間にはんこの遊びはいかがですか?


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10月8日くらいまで、丸善・丸の内本店3階児童書フロアのウィンドウの中に、この絵本にまつわる展示をさせてもらっています。

『おひなさまの平安生活えほん』

個展をやっていた。制作に追われて、ここにアップできてなかったです。。。
ひなまつりだったなぁ。作るのに4年かかったおひなさまの絵本なのに、今日アップしても、来年までもうだれも振り向いてくれないなぁ。とほほ。ま、いいか。旧暦でお祝いする地域の方々、あと一月ありますのでよろしくお願い致します。色鉛筆で全部描きました。組版の芳賀さん、たいへんだったろうなぁ。デザインの高橋雅之さんは、本に魔法をかけてくれました。仕上げに全体の正誤を見てくれたのは、画材メーカーの武本さん。彼は有職故実を大学で修めたという猛者で、年末のもうだれも働いてない日に見てくれたのでした。やっぱり専門に勉強した人がみてくれると違います。独学は危険。そして最後まで編集の吉田さんは陣頭指揮をとってくれて、最後の最後まで直した絵を印刷所に送る。。。このシーンの気温さげて、とか、生えたての春の草の色にして、とかあいまいな指定をがっつりだしてくれた佐久印刷の社長。なんだかみなさんのお仕事ぶりに感激してしまって。ありがたいです。あすなろの山浦社長、ありがとうございます。できたよできたよ。
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🔻この絵は、最初にすだれを一本一本描いてから、そのすき間を絵で埋めていきました。色鉛筆だからそういうふうにしか描けないんです。風合いのためなら、えんやこーら。
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謹賀新年

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年頭のご挨拶の絵は雪舟です。寺の小坊主だった雪舟少年は、いたずらが過ぎて、お寺の押入れにとじこめられました。涙で描いたねずみが動き始めた、というわたしの大好物エピソードです。伝説では、雪舟くんは、柱にくくりつけられていて、足の指でねずみを描いた、とあります。絵は、ちょっと違えて描いちゃった。
今年も変わらずよろしくお願い致します。わたしなりにがんばります。世界が不穏なのが、悲しいですね。そういう悲しみや憂いをタブローに描けないか考え始めました。世の中音痴のわたしが、そんなことを思う一年のはじまりです。