『けしごむ ぽん いぬが わん』

非常事態宣言が東京に出されたころは、この絵本の仕上げをしていました。どうしても間に合わなくて、何度も徹夜。サイトヲヒデユキさんがデザインとディレクションをしてくださり、児童文学作家でもある編集者の市川宣子さんが担当してくださるという、なんとも贅沢な機会を得て、しずしずと制作にいそしみました。
絵はすべて版ごとに描き分けました。そういうのを別版というのですが、紙を重ねて、絵がずれないようにあわせて描くのが、その、とにかく、そこにいちばん時間がかかったわけです。
わたしは、はんこ屋さんになる夢がかつてありまして、はんこへの愛を絵本にしてみたら、と市川さんがさそってくださったわけです。子どもの頃、激しくはんこに憧れながら、その道に進まなかったのは、あるとき、はんこ屋さんの仕事に、失くした銀行印のコピー作り、というものがあり、それがとても大切な仕事だと聞いたらから。子どもながらに、そういうのは、わたしはできなさそう。。。というのがはっきりくっきりわかっていたからです。でも、この本のおかげで、少しその夢をかなえることができました。だって、はんこで仕事ができたんだもん。身近なものをはんこにして、ぽんぽん押しました。おうちにいる時間にはんこの遊びはいかがですか?


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10月8日くらいまで、丸善・丸の内本店3階児童書フロアのウィンドウの中に、この絵本にまつわる展示をさせてもらっています。