賞をいただきました

本がたくさん写ってるでしょう?一冊はわたしがかいた『海のアトリエ』ですが、他は全部、他の作家さんの作品。でもこれらの本には共通点があります。何だと思いますか?これね、全部一人の編集者の仕事なんです。全部、広松健児さん(偕成社の編集部長)が、作家と組んで作った本(の一部)。「絵本なんて難しいもの、作家一人ではできないよ」そして、「絵本は、編集者が一緒に作るものだ、映画だってスタッフみんなで作るでしょう、それと同じ」と彼は言います。「物語は何かということをみっちり考えることができた大学生活だった、そのことが役立っている」とも言います。『海のアトリエ』は、広松さんに「子どもの時に出会って、今でも大切に覚えている人の話を聞かせて」と言われたことから始まったのです。そのあともたくさんの話し合いと試行錯誤。本番の絵を描いている途中、アトリエに来てくれて、絵がどっちに進むべきなのか、意見を聞かせてくれました。絵本ってほんとに、難しくて、しかも、絵を夢中で描いていると時々わからなくなっちゃうんです。仕事納めのあとの1230日にも絵を見に来てくれました。それで、どう思うか聞かせてくれるのです。言葉選びもまた難しい。。。よりよい言葉と、絵本の落ち着き先をとにかく一緒に探してくれます。このたび、江國香織さんが、Bunkamuraドゥマゴ文学賞にその広松さんと作った『海のアトリエ』を選んでくださいました。江國香織さんの作品を最初に読んだのは、27年前です。『こうばしい日々』(坪田譲治文学賞受賞作品)というすてきな作品でした。さあ、ここからが驚きで、その本を編集したのが、その当時あかね書房にいた広松氏だということをわたしはつい先日知ったのです。数えてみたら、担当した本が賞をもらうのは25冊目だそうです。ただ、私にとっては、社会に出てから初めての賞で、発表のあった9月3日は、皆さんからあたたかい言葉をたくさんいただき、本当に嬉しかったです。でも、わたし一人ではここに来れなかったこと、絵本を作るために尽力とテコ入れを惜しまない広松健児さんという人がいるということをお知らせしたくて書きました。09052021